
ーチ(それはワイキキに限らずほとんどの場所で見受けられる)には、常に二つのタイプの公衆電話がある。一つは通常の公衆電話、もう一つは丈の低い公衆電話である。丈の低い公衆電話は、子供や車椅子の人々を対象としている。勿論、一般の人々でも丈の低い公衆電話を使用しても差し支えないデザインとなっている。そのような配慮は、総ての駐車場、便所、フィッシングピアなどに恒常的に見受けられる。
フィッシングピアは、太平洋に面したカリフォルニア州に多く見られ、約50の地方自治体に建設されている。それらの多くが、観光客の誘致施設として利用されているばかりでなく、市民にスポーツフィッシングの場を提供するレクリエーション施設となっている。
フィッシングピアのバリアフリーデザインとは、ピアの周辺を囲むデッキ手摺りの高さに秘密がある。デッキの手摺り高さを一様にするのではなく、部分的に数箇所低くした手摺りを設け、車椅子利用者や子供の利便性を高めるデザインになっている。
マリーナやヨットハーバーにおいては、駐車場やシャワー施設、トイレのバリアフリー化は勿論のこと、高齢者や身障者が水に親しめるようにボート上下染スロープが解放されている。また、プライベートビーチを除いたパブリックビーチでは、特に新たに再整備されたビーチにおいて、波や潮の干満を考慮した安全性の高い遊歩道が整備されている。それは、渚線ギリギリまで近付くことができ、高齢者や障害者の利便性を考慮して車椅子でも通行可能なアンツーカ仕上げの遊歩道が砂浜に沿って整備されている。このようにアメリカは、公共施設のバリアフリー化というよりも、社会システムのユニバーサル化が進展しているといっても過言ではあるまい。
7−1−2. イタリア
イタリアの社会保障制度は、通常、「社会保険」、「保健医療」、「社会的援助」の三つに分類される。「社会保険」とは、何らかの事故に遭遇した国民に対し、喪失した所得を補完ないし代替するものであり、年金制度、労災制度、家族手当制度、失業手当制度などがこれに属する。「保健医療」とは、公営医療である「国民保険サービス制度」を指している。最後の「社会的援助」とは、その他の社会保障分野で保護の対象とならない
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